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zoom RSS ニューズレター「コラボ」より 「テロ対策の国へ「ようこそ」」

<<   作成日時 : 2006/03/06 19:46   >>

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特定非営利活動法人(NPO法人)コラボの
ニューズレター「コラボ vol.31(2006-3-01)」
に書いた取材こぼれ話より自己転載。

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02:テロ対策の国へ「ようこそ」
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まさのあつこ Masano Atsuko ジャーナリスト

★吹き飛んだバケーション気分★

 1月、カナダのバンクーバーで開かれた林業業界の会議の取材に訪れた。往
復に同じ北米西海岸の米国ポートランドを経由すれば3万円(税金込みで約6
万円)で往復できる格安チケットが手に入ったからだ。ちょっとしたバケーシ
ョン気分。しかしそれが吹き飛んだのは、単にバンクーバーへの乗り継ぎをす
るだけなのに、いったんポートランドで入国、税関、出国手続きをやらなけれ
ばならなくなったときである。

 実はカナダからの復路は、乗り継ぎのいい便がなかったために、本当にポー
トランドに入国をして1泊することになっていた。夜着いて朝出るだけのこと
だが、馬鹿正直に、入国カードに泊まるつもりのユースホステルの住所を書い
ておいたのが間違いだった。入国担当官がそれに気づいて質問が始まった。

「ポートランドで何を?」「用事はバンクーバーにあって、帰りは便がないか
らポートランドで1泊するだけです」
「バンクーバーでは何を?」「会議に出席します」

 それで終わるだろうと思っていた。ところがそれでは終わらなかった。
「職業は?」「ジャーナリスト」
「所属は?」「フリーランス」

★入国担当官の口調が突如、尋問調に★

 この辺からおかしくなってきた。
「何の会議ですって?」「森に関する会議」
「森?」

 おおざっぱ過ぎたのかもしれない。「最後に米国に来たのはいつ?」と尋問
調になった。「いつだっけな」と思い出そうとすると、矢継ぎ早に質問が来る。
「バンクーバーに行くのにポートランドに降りるのはなぜ?」「安くて一番早
く帰る方法がそれだったから」
「旅程は?」「バンクーバーに3日、帰りにポートランドに1泊」
「会議で何を? ジャーナリストって何するの?」「え? 原稿を雑誌に……。
で、米国に最後に来たのはですね……」
「今のところ、バンクーバーの会議に行くことははっきりしたね。ジャーナリ
ストであることもはっきりした。それで?」

「はっきりした(させた)」という部分は英語では「You established」とい
う言葉で、まるで「その他のあなたの証言は信用できない」とでも言いたげな
口調である。
「だから最後に来たのはですね……。あー、思い出せない。私、そんなに怪し
く見える?」
「誰も怪しくなんか見えないよ。だから僕たちがいるのさ。あなたは日本人に
見えないし」「日本人だってば」
「お父さんもお母さんも日本人?」「いぇーす」
「日本で生まれた?」「いぇーす」

★「9.11」以降の米国を実感★

 ますます形勢が悪い。日本のパスポートを持ち、日本人の顔をしているのに、
これでは9.11以降、アラブ系の人がいかに苦労したか想像がつく。英国の
地下鉄爆破事件のあと、怪しかったからと射殺され、片付けられた事件があっ
たことを恐怖と共に思い出した。

「パスポート見りゃ、いつ来たかだって分かるでしょ」と反抗したいところを
抑え、こう言った。「ちょっと日本語で考えさせてよ」。それにも平然と「何
語でもいいよ。2カ月前? 半年前? それとも」と急かす担当官に、「ノー。
だから日本語で集中させてよ」と日本語で独り言を言い始め、記憶を辿ってや
っと思い出した。「最後に来たのは1998年。米国政府に招かれて情報自由
法の勉強に来たのよ」。

 やっと気が済んだか、左右の指紋、目紋(?)を撮られ、ようやくポンとス
タンプが押された。パスポートを受け取りながら、「たかが乗り換えがこんな
に難しかったっけ?」と憎まれ口を叩くと、「Welcome to the U.S.(米国へ
ようこそ)」とあちらも皮肉たっぷりにニヤリと笑った。8年来ない間に米国
は、「ようこそ」という言葉が皮肉になる国になってしまった。(了)


コラボvol.25(2005-08-01)に書いた取材こぼれ話より
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03:コペンハーゲンの初夏
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まさのあつこ Masano Atsuko ジャーナリスト

★メトロは乗務員もラッシュアワーもなし、降りた駅の改札までも★

 6月半ば、所得の50%近くを税金で取られる北欧福祉国家の一つデンマー
クの首都コペンハーゲンへ行ってきた。不妊患者の国際会議を取材するためだ
(そちらは『婦人公論』に近々掲載予定)。

 会場と宿泊先をメトロと呼ばれる市内電車で移動。運転手も車掌もなしに整
然と走るので驚く。人は少ない。ラッシュアワーもない。切符を買おうとした
ときは回りに人がいなくて困った。自販機に英語の表示もない。どこをどう押
せばいいか分からない。コインを入れるスリットさえ閉まっていて最低料金の
切符も買えない。

 見回すと電話のマークがついたボタン。押してみると声がした。「キャンニ
ューヘルプミー?」と言ってみる。と「ちょっと待って」と、ほどなく駅員が
現れた。どこへ行きたい?と名刺大のメトロマップを見せるので、ここだと指
してコインを手のひらに乗せると、区間ごとのボタン、大人、1枚と順々に教
えて買ってくれた。こうして買った切符を握り締めて乗ったが、降りればその
まま改札もない。拍子抜けした。

 朝晩電車に乗ると面白い風景にも遭遇する。お母さんが巨大な乳母車を押し
て乗ってくる。犬も自転車もそのまま乗れる。妖怪のような扮装をした若者の
軍団も乗ってきた。会議のホスト役が「今日は卒業式だから町には妙な格好を
してハメをはずした若者が繰り出しますが、これがいつものデンマークだと思
わないでください。わが国の名誉のために言っておきます」と笑いを誘ってい
た。このことか、とマジマジと扮装を眺めた。

★休日は芝生で日向ぼっこ、でも都心には空きビルが★

 車窓の外も興味深い。日本の友達の友達でコペンハーゲン在住のイルマ・ク
ラウセンさんによれば、コペンハーゲンでは60万戸の家が不足するという政
府の想定に基づき、街の外に向かって住宅建設ラッシュ中だ。

 新築の集合住宅には共通した特徴がある。窓が大きく、中に暮らす人々や家
具が外から丸見え。家具も家もデザイン美しい。中世の町並みを残した延長線
上にこの美しい暮らしぶりがあるのだろうと思い、「これがデンマークの伝統
なの?」と聞くと「とんでもない!まるでショーウィンドーよね。あれは最近
の流行よ」という。住宅街を散歩していても、そのような家が多い。じっくり
と見るべきか、見ぬフリをすべきか、目のやり場に困る。

 街中の道路には、必ず自転車専用レーンが設けられ、ベビーカーつき自転車、
犬連れも含めて、軽快なスピードで人々は走る。どんな建物の前も自転車を置
くスペースがある。

 休日にはこれまた人や乳母車や犬が、街中の公園で散歩したり芝生でまった
りと日向ぼっこをしたり。高い家賃を嫌って都心から郊外にオフィスが出て行
き、空き部屋や空きビルが目立ち、都市なりの矛盾もある。だが、なんという
か、感じがいい国だなぁと、夜10時でも日が暮れないコペンハーゲンの初夏
の空を見上げて考えた。

  @ @ @

以下は、同ニュースレターに2004年6月から12月まで連載した「知事に特別秘書は必要か」です。量があって掲載しきれないので、読みたい方はatsukom@mrj.biglobe.ne.jp (まさのあつこ) まで。

コラボ連載「知事に特別秘書は必要か」

プロローグ コラボvol. 12 2004-06-01
★情報を縦横無尽に流通させる「存在」として

第1回 コラボvol. 13 2004-07-01
★知事も議会も職務を理解しないまま否決――神奈川県

第2回 コラボvol. 14 2004-08-01
★4番目の「副知事」に過ぎないのか――大阪

第3回 コラボvol. 15 2004-09-01
★ 政治的同志か、防波堤役か――埼玉

第4回 コラボvol. 16 2004-10-01
★ 4人の副知事が練り上げる「秘策」――東京

第5回 コラボvol. 17 2004-11-01
★ 最後に結論を出すのは政治家の役割――長野

最終回 コラボvol. 17 2004-12-01
★ 政治・行政の素人が知事になる時代を迎えて――最終回

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